古いお墓が傷んでいる場合、昔からの石屋は安易に安いお墓に建て替えることはお薦めしません。お墓は消費するものではなく、修理して受け継いでゆくものです。徳島の周辺にはお隣の香川県の庵治石を始めとした良質な石の産地があります。そういった良質の石を使っている古いお墓は、修繕した方が、安い石材でお墓を作るよりも結果的に長持ちします。
また、大がかりな修繕が不要な場合もあります。良質の石のお墓の場合、艶があまり落ちていないことも多く、墓所のクリーニングだけで十分に見違えることも多くあります。まずは、墓所の状態についてご相談ください。
花崗岩のお墓の場合、お墓よりも基礎が傷んでいることが多く見られます。特に古い基礎は地盤がしっかりしていなかったり、十分なコンクリートを使っていない場合があります。この場合は一旦お墓を解体し、基礎を打ち直したのち、組み付ける必要があります。大がかりな工事となってしまいますが、基礎が大きく傷んでいると墓石本体が傾いたり、地震で倒壊する可能性が高くなります。標準的な解体組付け工事費用は15から20万円程度、基礎の打ち直し工事は十数万円からとなります。
徳島県内の古いお墓は納骨堂が砂岩(この辺りですと鳴門の撫養石)だったり、モルタルだったりすることがあります。どちらも100年と持たずにヒビ割れが生じてきます。大きく割れたりしていない場合は見た目だけの問題ですが、どうしても気になる場合は納骨堂のやり替えをお薦めいたします。弊社の観音開き式納骨堂は、幅3尺もので30万円から、3.5尺もので50万円から、4尺もので70万円からが目安となります。※古い納骨堂の解体処分費用が別途必要です。
宝篋印塔や五輪塔、笠付きや蓮華付きのお墓など、細かい細工の施された砂岩のお墓も風化の影響を大きく受けます。改装の際にご先祖様が作られたお墓の古い形を大事にしたいというお客様もいらっしゃいますが、そのような場合でもCADで設計することで代々伝わってきたお墓の形をそのままに改装することができます。お墓の文字がしっかり残っていれば、石拓を取って古い文字のまま彫ることもできます。
写真の宝篋印塔は施主様のご希望で、古い宝篋印塔の形をできるだけ再現したものです。風化で潰れてしまった彫り込みの模様は石拓を取って起こし、水鉢は昔の石工さんが竹を模したアイデアをそのまま活かして、金具のみステンレス製に変えてあります。
修復前の宝篋印塔です。隅飾りと相輪が折れて、彫りの浅い部分は風化で潰れてしまっています。砂岩は細かい装飾ができますが、その分、風化に弱いです。
修復後の宝篋印塔です。徳島県内で多くみられる、隅飾りが大きく広がった形の宝篋印塔は、中国工場向けの図面が起こされていないせいか、花崗岩(御影石)での加工はあまり見かけません。
古いお墓でも、高級材を使ったお墓の場合、磨き直しをすることで本来の輝きと耐久性を取り戻すことができます。特に庵治石は艶が落ち難く、手入れを怠らなければ30年経っても輝きを損ないません。磨き直しは工場への持ち帰りが必要です。建ったまま研磨するようなサービスも世間では見かけられますが、そのような施工では均一な研磨面は得られません。磨き直しの費用は墓石の形や大きさにも依りますが、9寸二重台墓石で10万円程度から、三重台の大きめの墓石で20万円前後の費用が必要です。※解体据え付け費用が別途必要です。
古いお墓の場合、納骨堂は磨き直しに向かない場合が多いため、納骨堂を磨き直す場合は上記に加え、磨き直し費用、解体据え付け費用が追加でかかります。
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